特殊鋼の知識
JIS鉄鋼ハンドブックに4つの盲点

JISは、設計屋さんが材料を選ぶときのガイドブックとして現に使われています。しかし、使え方を間違えてはいけません。間違え易い点が4つ有ります。

第一は、化学成分です。JISの数値はとりべ分析値(レードル分析値)であって、製品分析値(チェック分析値)ではない、と言うことです。

第二は、JISに載っている機械的性質は、ある決められたサイズ(JIS標準サイズ、径25ミリ)に対するだけの物であり、従ってJISに記載されている機械的性質はあくまで参考値です。径に因って違う事を知って置くべきです。

第三は、熱処理のやりかたです。例えばSCM435の焼き入れの項には830-880C油令と書いてあるので、たいていの人は油でなくては駄目と思ってしまう。ところが油でいいのは25ミリ径の場合です。100ミリの径も有れば、油では駄目です。

第四は、JIS鋼材には用途別の名称があるが、例えば、バネ鋼(SUP)というのが有ります。これはバネにしか使えないと思っている人が多い。鋼と言うのは、そんな融通が効かない物じゃない。その特性を考えれば各種の用途に使えるところに、鋼の汎用性が有るわけです。何故バネに使われるかを考えますと、熱処理するとショックに強くなる、だからバネに使われたに過ぎない。それならばショックに強い事を要求する他の部品にもこれを使ってもいいでしょう。

又、高炭素クロム軸受鋼(SUJ)、これもベアリングにしか使えないと思っている人がおります。ところが何故ベアリングに使われるかと言うと、これは硬くて減らないからです。では硬くて減らない事を要求する他の部品にも使っても良いのではないか。用途には色々な使え方があります。タップ、ゲージ、ロール等にもよいのです。
何回も言いますが機械的性質はJISには参考値として記載されていますが、径によって違う事だけは覚 えておいて下さい。