特殊鋼の知識
ステンレス鋼について(2)

ステンレス鋼は組織からみると3種類に分けることが出来る。

   1.13Cr(マルテンサイト系):焼入れで硬化することが出来る。
   2. 18Cr(フェライト系):焼入れしても硬化しない。
   3. 18Cr-8Ni(オーステナイト系):焼入れしても硬化しない。

ステンレス鋼は錆びにくいうえに、耐食性、耐熱性などを 要求する使用用途に幅広く応じることが出来るため、今後も色々な分野で利用されて行くものと思われます。ステンレス鋼の生産は、全世界合計で1000万トン前後が生産されています。日本の生産は1/3の300万トン前後であり、その内1/3が輸出されております。また生産されている形状から言えば、板類が圧倒的に多く70%前後と言われています。(但し、溶接管用板を含む)。
昨年、建築業界への使用認可があり、今後この分野への使用増が期待されるものと思います。(但し、価格が一般材と比較して高いので障害になっているが…)
ステンレス鋼、SUS304系(オーステナイト)が一番耐食性が優れていますが、必ず固溶化熱処理が必要であります。固溶化熱処理がされていないと錆びが発生しやすい。固溶化熱処理とは、1100℃に加熱して一定時間保持した後に急冷(水)することです。何故、固溶化熱処理が必要か?この鋼種の中の炭素(C)は炭化物として析出しやすく耐食性を害しますので十分に固溶させることが必要なのです。

使用用途を参考までに例記します。

  1. 13Cr(マルテンサイト)
    熱処理によって、硬さ、機械的性質、強さが得られること、耐食性も兼ねているので、ポンプシャフト、船舶用シャフト、バルブ、タービンブレード、医療用器具、刃物類、食器、バネ材、シャフト類などに利用されています。
  2. 18Cr(フェライト)
    13CrよりCr含有量が多いのでさらに耐食性、耐酸化性がすぐれ、しかもオーステナイ ト(18Cr-8Ni)に比較して、切削性が良く、加工硬化も少ないので、冷間加工が容易で ある。Niを含んでおらず、安価で、しかも大気中で良好な耐食性が得られることから、 建材用、日用品、スプーン、フォーク、タービン、バーナー、ボルト、タンク、マフラ ー、家電製品、他に利用されている。
  3. 18Cr-8Ni(オーステナイト)
    この鋼種は、熱処理によって硬化することなく、冷間加工によってのみであり、機械的性質は期待できません。耐食性、耐熱性が優れておりますので、耐熱鋼としても利用されております。

鉄道車両、調理器具、ボルト、ナット、ワッシャー、バネ、厨房用品、ネジ、建築(外装、内装)、マフラー、化学プラント、食品設備、原子力設備、運動用品、家電用品、など我々生活の中で身近にステンレスが数多く使用されていることが判ると思います。