特殊鋼の知識
ステンレス鋼について

ステンレス鋼について
ステンレス鋼:Stainless Steelのステンレスというのは、Stain(汚す、汚れる)にlessを付けたもので、“汚せない、汚れない”と言う意味です。
鉄は錆びて、汚れると言う前提に対して、何時までも汚れない(錆びない)ということです。昔は“不銹鋼”とも言っていました。銹は錆びです。
ステンレス鋼の記号はSUSです。SteelのS、Special UseのU、StainlessのSから取ったものです。SUSは俗にサスとも言っています。しかしながら、ステンレスは錆びないのではなく、錆びにくい性質であると覚えておきましょう。ちなみに、ステンレスにも“もらい錆び”と言う言葉があります。一つの例として、各家庭にも利用されているステンレス流し台、また風呂などに釘を入れておくと、2~3日のうちに赤錆びが発生します。これが“もらい錆び”です。ステンレスも錆びることが判ると思います。
◎ステンレス鋼は、Crが基本的には12%以上
1912年にイギリスのブリアンが顕微鏡の試験片をつくるとき、鉄とCrの合金が酸になかなか腐食されないのに気付き、これは“錆びない鋼”として使えるのではないかと思い付いたのが、13Cr(SUS403系)に当たります。
時同じく、ドイツ・クルップ社のマウラーとシュトラウスが、Cr20%-Ni7%-Co25%の鋼が、きわめて錆びにくいことを発見しました。これを改良してCr18%-Ni8%の鋼(SUS304系)が生まれました。
◎ステンレス鋼は、何故錆びにくいのか?
ステンレス鋼の表面は、ごく薄いけれども強固なCrの酸化膜で被われており、この酸化膜が防護の役目をして、それ以上の錆びの進行を止めているのです。但し、Crは12%以上ないと効果がありません。もう一つは、炭素量が多いと鋼は錆びやすくなります。従ってステンレス鋼のC%は通常0.1%以下が多い。(SUS304系)。
◎ステンレス鋼の組織からみると
13%Cr(マルテンサイト系)、18%Cr(フェライ系)、18%Cr-8%Ni(オーステナイト系)に区別されます。後者ほど錆びにくいが、強さからみると、マルテンサイト系が一番強く、次にフェライト系、オーステナイト系が一番弱い。素人目には、これらの区別はつきませんが、13Cr、18Crは磁石につきますが、18Cr-8Niはつきません。これが簡単な区別法です。

次回は、ステンレス鋼の具体的な利用方法などを紹介しましょう。