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アモルファス合金 |
最近アモルファス金属という言葉を耳にします。アモルファスとは英語で非結晶(非晶質)という意味です。非結晶の金属は昔は存在しませんでしたが現在では超急冷により容易に作られるようになり、最先端材料として注目されています。
アモルファスは液体状態から超急冷すると、液体金属の整列しない原子のままで固体化することでアモルファスが得られます。
昔から金属は急冷しても必ず結晶化の状態で固体になると考えられていました。それが物質にもよりますが1秒間に10,000℃~1,000,000℃の速度で急冷すればアモルファスになることがわかってきました。
実用的な作り方は冷却用ロールを高速回転させ、ロール表面に溶けた金属を連続的に注入することで箔状の長いテープを作るのが一般的です。
アモルファスの大きな特質は結晶金属に比べ3~4倍の強度が得られ、しかも靭性も大きい点です。
耐食性についても鉄-クロム系合金で著しく改善されることが知られます。アモルファスでは結晶粒界がないため、表面に形成する酸化皮膜が均一で断点が出来ないことが要因です。
とくに成長分野は軟質磁性材です。アモルファスでは原子が非晶質で方向性がないため磁気的性質に優れ、磁化し易いことから高飽和磁束密度と高透磁率が従来材に比べ飛躍的に向上します。
たとえば、13%B(ボロン)-9%Si(シリコン)の Fe(鉄)基非晶質合金は飽和磁束密度が高く、鉄損がきわめて低いため電力用トランス鉄心として実用化されています。またアモルファスシリコンは大面積の薄膜の製造が可能になったため電源用太陽電池として需要が増加してます。
1990年代にアモルファス合金結晶を結晶化熱処理して、ナノ寸法結晶を生成させる方法が開発されました。ナノとは10億分の1の意味で、1nm(ナノメートル)は10-9mです。この合金はナノ結晶軟磁性材料とよばれ、高飽和磁束密度、高透磁率、低磁心損失特性からノイズフィルタ、チョーク、トランス、センサー関連に使用されています。 |