特殊鋼の知識
磁性材料

 磁性材料は2つに分けられます。1つは強い磁界の中で磁化すると、磁界を取り去っても強い磁性がのこる硬質磁性材料(永久磁石)と、小さな磁界で大きな磁束密度が得られる軟質磁性材料があります。

 永久磁石は昔からフェライト磁石(酸化鉄の焼結品)、アルニコ磁石(アルミ・ニッケル・コバルト主成分の鋳造品)が知られていますが、近年希土類元素 Sm(サマリウム)、Nd(ネオジム)を主成分とする強力磁石の Sm-Co(サマリウム-コバルト)磁石Na-Fe-B(ネオジム・鉄・ボロン)磁石が広く使われています。用途はプリンター・ファックスのOA機器や、ビデオ・CDなどプレーヤーのAV機器の回転部モニターに、またパソコン外部記憶装置ののハードディスクのスピンドルモーターには、Nd-Fe-Bのポンド磁石が使われています。


 一方軟質磁性材料の代表的用途は、鉄心(コア)です。純鉄や低炭素鋼が知られていますが、特性は渦電流損いわゆる鉄損の低いことが要求されます。純鉄・低炭素鋼では電気抵抗が小さいため、Si(シリコン)を添加し抵抗値を大きくしたけい素鉄(電磁鋼板)がトランス・ブレーカー・電磁開閉器などに使われます。使用環境によっては耐食性を付加した 13〜18%Crフェライト系ステンレスが電磁バルブなどの鉄心に使われます。


 透磁率と磁束密度の高いFe-Ni系材料のPBパーマロイ(Fe-45%Ni)は小型トランスコア、電子時計用鉄心やAV機器磁気ヘッドに使われますが、磁気ヘッドでも紙幣の読み取り、駅の改札用の磁気へッド・コアには耐摩耗性が必要なため、Fe-Si-Al鋳造合金(センダスト)が採用されています。


 また高磁束密度2テスラ(20,000ガウス)で知られるパーメンジュ-ル(Fe-50%Co)は高速・高インパクト機構のプリンターヘッドに装着され重ね 複写用(5から6枚)、ATM(通帳)など業務用プリンターに有用されています。


 鉄心以外の用途では磁気シールド材で知られます。透磁率が高く、保磁力が小さいほど良く、PBパーマロイのほかPCパーマロイ(Fe-78%Ni-4.5%Mo3.5%Cu)はとくに高透磁率(μm:120,000以上)と保磁力(Hc:0.02エルステッド以下)が優れるため磁気ヘッドケース、カートリッジ シールドに広く使われています。


 また最近問題化している電磁波による計器の誤作動、通信機器のノイズ防止など電磁波吸収体素材として軟質磁性材料が採用され効果をあげています。