特殊鋼の知識
高炭素クロム軸受鋼

軸受鋼はJISでも特殊用途鋼として単独で分類されているだけあって、広く使用される鋼材です。軸受で必要な性質は硬くて減らない耐摩耗性が第一条件となります。耐摩耗性で必要なことは非常に硬いCr炭化物(クロムカ−バイド)がマルテンサイト組織基地のなかに散在する組織にすることです。  JISではSUJ 1〜SUJ5の規格があり、軸受のボ−ルやレ−ス用として使用されます。SUJ4とSUJ5 はそれぞれSUJ2とSUJ3にMo(モリブデン)を0.2%程度添加したもので焼入れ性がよく、大型の軸受に使用されます。 軸受の品質はなんといってもCr炭化物の形状と分布がポイントです。そのため球状化焼鈍(なまし)をすることと、不純物を少なくすることが品質上必要となります。高品質材はとくにガスや非金属介在物を極力少なくするため真空溶解したインゴットから造ります。真空溶解は高いので、真空脱ガス処理したキルド鋼が一般的に使われます。軸受の耐久性、寿命は球状化した微細炭化物が均一に分布することや、非金属介在物、表面の脱炭などが影響するため客先によっては詳細な仕様を取り決めて製造されます。


かってはスウェ−デンのSKFが世界一でした。これは木炭銑を使うため コ−クスを使う銑鉄に比べ不純物が少ないことに由来します。現在では日本でもNSK,NTNなど品質が世界的に認められており各国に広く輸出されています。 ここで軸受鋼の耐摩耗部品としての魅力を紹介します。化学成分はSK4(炭素工具鋼)に Cr(クロム)約1%添加したもので工具、冶具などの耐摩耗部品に最適です。しかも価格が安い利点があるので軸受以外の部品にどんどん使われて良いものです。 SUJは焼もどし温度が160〜180℃と低いため高温に長時間さらされると軟化するので120℃位までしか使えません。このため耐熱軸受鋼として、軟化抵抗を増すためAlを添加したMHT鋼、4%Cr-4%Moのセミハイス(M50)やMoハイス(SKH51)が使用されます。また耐食軸受鋼(ステンレスベアリング)としてSUS440Cが有名です。