特殊鋼の知識
合金工具鋼(1)

前回工具鋼はあいてがあっての道具(ツ-ル)であることをお話しいました。ところが環境が高温とか、衝撃などの場合はプレ-ンの炭素工具鋼では役にたちません。これに応えられるものが 合金工具鋼のSKS,SKD、SKT そして高速度鋼のSKHです。

SKS切削用の合金工具鋼で、硬さがポイントです。固い炭化物をつくるため Cr,W,を添加します。Crは工具鋼共通で焼入性向上のため添加されます。

?工具鋼ではNiはめったに添加されませんが、SK5,SK51ではNi 1~2%が??? 含まれます。これは木工用の「丸ノコ」「帯ノコ」が切削時に木材の熱伝導が悪いため、刃物に熱がこもり温度があがります。そのため焼きもどし温度を高くセットできるように Ni を添加し 焼きもどし 軟化抵抗を大きくしたものです。ちなみに400~450℃の焼きもどし して使用します。

じん性がポイントの工具は 耐衝撃用鋼です。 C量を低めとし、硬さは切削工具用とおなじくCrを添加します。耐衝撃用鋼の特長鋼種として Cr,W を添加せず、代わりにを入れた SKS43,SKS44があります。 V の効果は固い炭化物(VC)を作ることと 結晶の微細化をする事にありますが、焼入性を悪くする働きがあるため 水焼入れしても 表面だけしか焼きが入らず 芯部が軟らかいままとなるため、 さく岩機用ピストン、たがね、ヘッテングダイスに最適です。焼きの入りにくい性質を うまく利用した材料です。